住民代表の木下豊さん(飯田)は11月29日、10人の連名で要望書を桜井昌季町長と小西和実議長にそれぞれ手渡した。
新建設用地は、公用車や分署職員が駐車場として使用しており、広さは約900平方メートル。地権者から購入し、多目的会議室や消防団の本部機能などを備える計画だ。着工予定は2025年度。26年度の竣工を目指す。住民らは「この決定に至る経過を住民として知る機会がなかったとは残念であり、公共建築のあり方として疑問」とした。
要望書では、「まちの景観と眺望は、私たち住民にとって暮らしの豊かさを決める大事な要素」とし、町役場や公民館から見る北信五岳の雄大な眺望が失われてしまう―と訴える。
住民らが提案する移転先は、町役場と分署に隣接する私有地(約1,040平方メートル)。その南側にはさらに関係者の私有地(約500平方メートル)があり、合計で約1,540平方メートル。他に農地などもあって現予定地より広くなり、2階建てが可能で、署員の駐車場確保も可能とする。
さらに、分署前から南側に向かうT字路の狭隘(きょうあい)な曲がり角を、新たに取得する土地の一部を使って町道を拡幅すれば、緊急出動や一般車両の安全性と利便性が高まる利点もあるとしている。
こうした一連の要望内容に対しては、私有地の所有者の同意を得ているという。
建築から46年が経過する小布施分署の建て替えは、本年度の重要施策の一つ。財源は国の財政支援措置「緊急防災・減災事業債(緊防債)を活用する。
今月2日に再開した町議会12月会議には町から、小布施分署建設工事実施設計業務費負担金、建設用地地盤調査業務費負担金として4,400万余を追加する一般会計補正予算案が提出されている。
桜井町長は取材に「緊防債の事業で期限がある。須坂市消防本部との兼ね合いもあるため、複雑な問題」。小西議長は「問題を提起された以上は、議会としても慎重に議論する必要がある」とした。