須坂新聞調査隊12
小布施の街角にある紙芝居は?
■平成記念に子どもたちが制作
小布施町内を歩いていると時々、歩道などにイラストと文章が描かれた掲示板があるのを見かけます。近寄って触ってみると、パネルが横にスライドして続きが現れ、紙芝居のように楽しめるようになっています。何が描かれていて、どうして設置されたのでしょうか。
町役場に聞いたところ「物語ボックス」という名称で、小布施町に伝わる民話を基にした物語が描かれているそうです。
町民有志から店舗や街角に美術作品などを展示してまち歩きを楽しんでもらおうという提案があり、その一環として、平成13年に町が設置したそうです。子どもからお年寄りまで親しみやすく、歴史や文化に触れられるものとして民話にしたということです。
物語ボックスは、小布施駅前から町営松村駐車場にかけて8カ所、それとおぶせミュージアム前、岩松院前の合わせて10カ所にあります。それぞれ表紙を含めて全部でパネル5枚になっています。
内容は「狐どんの道案内」「まんない姫と小布施栗」「あわて男の善光寺参り」「西向きの大日さん」など、古くから伝わる小布施を代表する作品が描かれています。
文は、児童文学者の羽生田敏さん(須坂市南原町)と、高橋忠治さん(長野市)、和田登さん(同)が物語ボックス用に構成しました。絵は、小布施町にアトリエを構える丸山武彦さん(長野市)ら北信地方の画家など5人が描きました。水彩画のほかに、切り絵もあり、画風がそれぞれ異なっています。
町商工会館前にある「栗と神さま」は、栗の産地だった押羽を神様が通った際に、いがの付いた栗が神様の上に落ちて、目が見えなくなってしまい、それ以降、押羽では栗を栽培しなくなったという話で、優しいタッチで描かれています。
散歩の途中などに見ているという玉井愛子さん(65、東町)は「嫁いできて30年以上経つが民話はほとんど知らなかった。これ(物語ボックス)を読んで知った。昔の様子などが分かっていい」と話していました。
町交流グループの田中克俊さんは「最近は民話に触れる機会が少ないので、こうした形で多くの人に親しんでもらい、伝承していくことができれば。観光客などに町を散策してもらう楽しみの一つにもなっているようです」と話してくれました。